【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

柚葉が大事に育てられたことは一目瞭然で、つねに笑顔の中心にいることがわかった。こうして育てられると、こうも純粋に育つのかと感心さえしていた。

風呂をもらって、晩酌に付き合ってから、パジャマに着替えた柚葉と合流して二階へと上る。

萌さんは車で迎えが着て、ついさっき帰ってしまったところだ。

二階は柚葉と萌さんの部屋があるが、当然のように柚葉の部屋に二組の布団が敷かれている。一緒に上がってその光景を見た時、柚葉は軽く悲鳴をあげかけた。それを軽く掌で押さえて、軽い力で部屋に引き入れる。


「りょう、」

「同じ部屋では寝れない?」

「そ、ういうわけじゃないです」

「うん?」

「お母さんがしたんですよね、なんか、ちょっとびっくりして」

「結婚報告に来たのに?」


喉元で笑い声が鳴った。困ったような柚葉を抱き込んで布団の上にころりと寝転がった。もう、こうして二人でいることが当然になる。

そういう契約をしようとしていることを、よくわからせたくて、たまらない。


「わ、りょうがさ、」

「柚葉さん」


ようやく抱きしめられる。

勝手に抱き込んで、ぴくりと動く首筋に鼻を押し付けた。柚葉の匂いは、どうしてこうもあまいのだろうか。


「どうし、たんですか」

「ずっと抱きしめたいの、我慢してた」

「ええ?」

「あんまり可愛いことばっかり言うから」