【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

いつもその顔を見るたびに、抱きしめてしまいたくて仕方がなくなる。

それが愛おしいという感情なら、俺はもう、永遠に柚葉を愛し続けてしまうのだろう。あつい予感に笑った。


「うん?」


何を考えなくとも、甘ったるい音が鳴る。

自分自身の感情など、口に出さなくとも、滲み出つづけていそうだ。気づかないのは、このかわいい人くらいかもしれない。


「……はずかしいです」

「あはは、ごめんね。でも、柚葉のお父さんが夫婦円満の秘訣を教えてくれたから」

「お父さんは、ちょっと変なんです」

「すてきな人だ。俺もずっと柚葉さんの隣にいたいので、頑張ります」

「……遼雅さんのそういうところのほうが、すてきです」


さらりと褒めてくる。

胸の柔らかいところに突き刺さりかけて、触れそうになる指先を抑えた。もうずっと、さっきから抱きしめたくてたまらなくなっている。

代わりに、じっと見つめてくる瞳に静かに囁いた。


「柚葉さんはいつもかわいいです」



結局柚葉の父の講義は4時間にわたり、夕食を囲んで柚葉の部屋で一泊することになった。

饒舌な義父は今日のために論文作成を必死で終わらせたらしい。義母から聞いた情報だ。