【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】


「……柚葉が勤める会社の、専務取締役だと、伺いました」

「はい。そうです。拝命しております」


柚葉から俺のことをあらかじめ説明していたらしい。一体どんな説明をされていたのだろうか。

すこし興味がわいて、目の前の男性に意識を集中させる。


「随分と若く見える」

「29です」

「柚葉は24だ」

「はい」

「5歳差か……」


遠い目になってしまった。

意味が分からず横で笑っている母親に目を向ければ「私とこの人も5歳差なの」と告白されてしまった。どう反応するべきなのかわからずにいれば、もう一度男性がこちらに視線をよこしてくる。

上から下までじっくりと眺めて、結局かなしそうにため息一つ。


「……もっとこう、なんか、すごく、文句をつけたい」

「……はい」

「紫くんもそうだ。お父さんはもっとちゃんと文句をつけたかった」

「お父さんも紫くんのこと好きだから、文句言えなかったんだよね」


横から一頻り笑った萌さんが声をかけて、父親が深くうなずく。とても仲が良いことはよくわかった。


「遼雅くん? 賢そうな瞳をしているなあ」

「恐縮です」

「言葉遣いもかっこいいなあ」

「あ、りがとうございます」

「イケメンだね」

「いえ、それは……」