「……柚葉が勤める会社の、専務取締役だと、伺いました」
「はい。そうです。拝命しております」
柚葉から俺のことをあらかじめ説明していたらしい。一体どんな説明をされていたのだろうか。
すこし興味がわいて、目の前の男性に意識を集中させる。
「随分と若く見える」
「29です」
「柚葉は24だ」
「はい」
「5歳差か……」
遠い目になってしまった。
意味が分からず横で笑っている母親に目を向ければ「私とこの人も5歳差なの」と告白されてしまった。どう反応するべきなのかわからずにいれば、もう一度男性がこちらに視線をよこしてくる。
上から下までじっくりと眺めて、結局かなしそうにため息一つ。
「……もっとこう、なんか、すごく、文句をつけたい」
「……はい」
「紫くんもそうだ。お父さんはもっとちゃんと文句をつけたかった」
「お父さんも紫くんのこと好きだから、文句言えなかったんだよね」
横から一頻り笑った萌さんが声をかけて、父親が深くうなずく。とても仲が良いことはよくわかった。
「遼雅くん? 賢そうな瞳をしているなあ」
「恐縮です」
「言葉遣いもかっこいいなあ」
「あ、りがとうございます」
「イケメンだね」
「いえ、それは……」


