【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】



突如現れた男に狼狽えていたのは家主の父親だけで、母親と柚葉の姉——萌さんは、大歓迎ムードで迎え入れてくれた。

事前に聞いていた情報をもとに、駅前で花束を購入して向かったら、女性陣が一挙に色めき立ったのが印象的だ。


「ええ~! 柚の彼氏、すっごいかっこいい!」


にこにこと微笑んでいる女性に、柚葉がもじもじと笑っているのが見えた。

玄関の先で、初老の男性がそわそわとこちらを伺っているのが見える。軽く一礼したら、おどろいたのか、奥に引っ込んでしまった。


「さあさあ、どうぞ。散らかっていますけど」

「あがってください!」


落ち着いた雰囲気の女性は、柚葉の母親で間違いないだろう。

柚葉の性格とは違い、しっかりした、意志の強い芯のまっすぐそうな女性だ。柚葉はどちらかというと、父親似なのかもしれない。

好奇心旺盛そうな女性は柚葉の姉で、かなり前に結婚して家を出ていると聞いていた。

柚葉が結婚報告をすると聞いて、わざわざ実家に帰ってきてくれたらしい。

少ないデートの合間にも何度も姉の存在については聞かされていたから、よほど仲のいい姉妹なのだろう。