【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

いつもと同じように、やさしい匂いがする紅茶を差し出されて、横にお菓子が置かれた。


「甘いもの、あまりお好きじゃないかもしれませんが」

「あはは、もらっていいんですか」


そこまで得意でもないことを口に出すのはやめてしまった。嫌いなものだったとしても、柚葉が出してくれるのなら食べてみたい。自分の中に浮かぶ言葉に吃驚している。


「もちろんです。あの、手作りなので、すごくおいしいわけではないですが」

「手作り?」

「あ、ごめんなさい、やっぱり食べなくていいです。すみません、つい幼馴染にあげるのと同じ感覚で」

「食べて良いなら、もらいます」

「え、ええ? いいんですか」


手作りにおどろいたのが、食べたくないからだと思わせてしまったらしい。

形はとてもきれいに整えられている。既製品と言われたら、普通に納得してしまいそうだ。

料理の類は得意らしい。

特に違和感なくそうだと思えるから、柚葉からは家庭的な匂いがしているのかもしれない。

普段、あまり食べるものではないから、これが何なのかわからないが、クッキーとパンの間のもののようだ。チョコチップが混じっている。フォークで差して口に入れれば、控えめな甘さが口に広がった。

あまり甘味が得意ではないことは、俺が口に出すまでもなく知られてしまっていそうだ。


「うまいです」

「なんか、お世辞を言わせてしまったかも」