「……ごめいわくを、おかけして」
「どうして? 俺がしたいだけです」
「したい、だけって」
「そうしたら、柚葉さんはもうすこし長く、俺と一緒にいてくれるかなと思って」
「遼雅さ、ん」
「謝らなくていいので、俺にきみの時間をください」
俯きがちな頬に触れて、やさしく上を向かせる。
交じり合った視線の中で、柚葉が気恥ずかしそうにしながら「いくらでも、さしあげます」と囁いたのを聞いて、がらにもなく浮かれてしまった。
その価値に気づいていないんだろう。そうだとしても、言質は貰ってしまった。
「あはは」
「……どうして、笑うんですか」
「いや、きみがそう言ってくれるだけで、どうしようもなく浮かれている自分がおかしくなっただけだよ」
「うかれ……?」
「こんなにかわいい女の子が、俺の奥さんになってくれるのかって、噛み締めてます」
忘れさせたりしない。もう決まったことのように囁いたら、触れている頬がねつを持ったような気がした。
「ほんとうに、私で……、いいんですか?」
「きみがいい」
きみしかいない。
声にのせて囁いたら、かわいい女の子が、観念したように「よろしくお願いします」と口に出してしまった。
タオルケットに包まれた体を勝手に引き寄せて、腕の中に引き込む。


