朝、布団の中でぼうぜんとしていた柚葉をひとしきり抱きしめた後、満足してようやくキッチンに立った。
朝食というよりもブランチのような時間帯に、そこそこ手をかけて料理を出せば、服を勝手に洗われてしまった柚葉がタオルケットをかぶって寝室から出てきていた。
「あはは、かわいい格好してどうしたの?」
「あ、う、お洋服、が……」
「うん?」
「見つからなくて、あの」
「ああ、ぐちゃぐちゃにしちゃったから、洗濯機を回してますよ」
さらりと告げたら、かわいらしく声に詰まった。
畳みかけるように攻めると、声が滞って砂糖みたいな音が鳴ってしまう。
あんなにも冷静そうな顔をしていたかわいい女の子が、実は恥ずかしがり屋の天真爛漫な性格だと知ったら、どんな男も夢中になるに決まっている。
俺もただの、その中の一人にすぎないだろう。
作り終えた料理をテーブルの上に置いて、タオルで精いっぱい身体を隠している柚葉の目の前で足を止めた。
上目遣いの人形のようなかわいい女の子が、瞳を震えさせている。
俺が困らせていると思うと、どうしようもなく気分がよくなる。
もっと俺を意識してほしい。


