【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】


満足してもらうためにじゃなく、俺がしていたい。はじめて胸に感じて、あっけなく燃え広がる。

ただ、欲しいがままに、求めている。


「ゆずは、」

「っ、あ……りょ、う」

「つかまえ、た」


かわいそうなくらいに追い詰められた身体をぺろりと堪能して、気絶するように眠ってしまった背中を眺める。

小さな背中には、羽根が生えているのではないかと思う。きれいな皮膚に触れたら、小さな寝息にかわいらしい声が混じったのが聞こえた。


「どうしてこんなに、かわいいのかな」


相性、というものが存在するのならば、おそらくぴったりと当て嵌まったような気がする。

触れるたびに皮膚がしびれる感触があった。俺だけの感覚だから、柚葉がどう感じていたのかはわからない。

これが好意なら、あまりにもしつこくて面倒な感覚だ。それなら今までものは何だったのか。

愛おしさと加虐心が綯い交ぜになって、胸に突き刺さっている。

後ろから抱き込んで、くるりと体をこちらに向かせる。何度も名前を呼ばせた唇は慎ましやかに閉じられていて、しばらくあの可愛い声は聴けそうにもない。


「ゆずは」


確かめるように呼べば、意識のない柚葉が、俺の胸にすり寄ってくる。

抱き枕のように思われているのかもしれない。


潰さないように抱き込んで、しばらく、ただ、眺めて過ごした。