満足してもらうためにじゃなく、俺がしていたい。はじめて胸に感じて、あっけなく燃え広がる。
ただ、欲しいがままに、求めている。
「ゆずは、」
「っ、あ……りょ、う」
「つかまえ、た」
かわいそうなくらいに追い詰められた身体をぺろりと堪能して、気絶するように眠ってしまった背中を眺める。
小さな背中には、羽根が生えているのではないかと思う。きれいな皮膚に触れたら、小さな寝息にかわいらしい声が混じったのが聞こえた。
「どうしてこんなに、かわいいのかな」
相性、というものが存在するのならば、おそらくぴったりと当て嵌まったような気がする。
触れるたびに皮膚がしびれる感触があった。俺だけの感覚だから、柚葉がどう感じていたのかはわからない。
これが好意なら、あまりにもしつこくて面倒な感覚だ。それなら今までものは何だったのか。
愛おしさと加虐心が綯い交ぜになって、胸に突き刺さっている。
後ろから抱き込んで、くるりと体をこちらに向かせる。何度も名前を呼ばせた唇は慎ましやかに閉じられていて、しばらくあの可愛い声は聴けそうにもない。
「ゆずは」
確かめるように呼べば、意識のない柚葉が、俺の胸にすり寄ってくる。
抱き枕のように思われているのかもしれない。
潰さないように抱き込んで、しばらく、ただ、眺めて過ごした。


