【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

やさしいと言うにはあまりにも純真で、まぶしい、やわらかい、あたたかい、うつくしいもののように見えた。


「家まで送りますよ」


下心はおそらくあった。首をかしげて見つめていれば、恐縮した様子の女性が慌てて手を横に振った。


「いえ! そんな。大丈夫です。おいしいランチもいただいてしまいましたし……、ありがとうございます」


清々しく俺に興味がないのだと気づいたら、後ろ姿に手を振りながら、すでに次の機会を捻りつぶす気はなくなってしまっていた。

手に入らなければ入らないほどに恋い焦がれて切望するのだと、何度も言い聞かされていた。

意味に今更気づいて、一人で笑ってしまう。


こんなにもほしくなるものなのか。



会うたびに会話をして、いくつかの誇張表現を使った。

甘やかしたいと言うよりも、どちらかというと相手が欲しがっていることを察するのが得意で、そうしているだけだ。

内情を、よりベターな表現で伝えれば、柚葉の顔は驚きでいっぱいになってしまった。俺の自己アピールのような探り文句に、やさしい笑みがぶつかる。


「あきらめ気味、かあ。佐藤さん、可愛いから引っ張りだこだろうに」

「ええ? それは橘さんのほうです」