やさしいと言うにはあまりにも純真で、まぶしい、やわらかい、あたたかい、うつくしいもののように見えた。
「家まで送りますよ」
下心はおそらくあった。首をかしげて見つめていれば、恐縮した様子の女性が慌てて手を横に振った。
「いえ! そんな。大丈夫です。おいしいランチもいただいてしまいましたし……、ありがとうございます」
清々しく俺に興味がないのだと気づいたら、後ろ姿に手を振りながら、すでに次の機会を捻りつぶす気はなくなってしまっていた。
手に入らなければ入らないほどに恋い焦がれて切望するのだと、何度も言い聞かされていた。
意味に今更気づいて、一人で笑ってしまう。
こんなにもほしくなるものなのか。
会うたびに会話をして、いくつかの誇張表現を使った。
甘やかしたいと言うよりも、どちらかというと相手が欲しがっていることを察するのが得意で、そうしているだけだ。
内情を、よりベターな表現で伝えれば、柚葉の顔は驚きでいっぱいになってしまった。俺の自己アピールのような探り文句に、やさしい笑みがぶつかる。
「あきらめ気味、かあ。佐藤さん、可愛いから引っ張りだこだろうに」
「ええ? それは橘さんのほうです」
「家まで送りますよ」
下心はおそらくあった。首をかしげて見つめていれば、恐縮した様子の女性が慌てて手を横に振った。
「いえ! そんな。大丈夫です。おいしいランチもいただいてしまいましたし……、ありがとうございます」
清々しく俺に興味がないのだと気づいたら、後ろ姿に手を振りながら、すでに次の機会を捻りつぶす気はなくなってしまっていた。
手に入らなければ入らないほどに恋い焦がれて切望するのだと、何度も言い聞かされていた。
意味に今更気づいて、一人で笑ってしまう。
こんなにもほしくなるものなのか。
会うたびに会話をして、いくつかの誇張表現を使った。
甘やかしたいと言うよりも、どちらかというと相手が欲しがっていることを察するのが得意で、そうしているだけだ。
内情を、よりベターな表現で伝えれば、柚葉の顔は驚きでいっぱいになってしまった。俺の自己アピールのような探り文句に、やさしい笑みがぶつかる。
「あきらめ気味、かあ。佐藤さん、可愛いから引っ張りだこだろうに」
「ええ? それは橘さんのほうです」


