もう、私がここに立っていることを予想していたらしい人が、扉が閉まり切る前に両手で抱きしめてくれる。
「おかえりなさい」
「ただいま、柚葉」
すこし前にも会っていたはずなのに、おかしい。
やっぱり遼雅さんはきちんと公私を分けていて、お昼休み以外は完璧な上司にしか見えないから不思議だと思う。
ぎゅうぎゅうと抱き合って笑えば、身体なんてすぐに熱くなってしまった。
「……あたたかいです」
「それはよかった。今日もかわいいね」
「かわいくは、ないですけど」
「あはは、そう? 俺にはかわいく見えます。すきだよ、ゆずは」
以前までは好きなんて全然言ってもくれなかったのに、あの日以来、遼雅さんの口癖に「すきだよ」が加わってしまったような気がする。
いまだに新鮮に照れてしまうから、遼雅さんのちょっとしたからかいなのかもしれない。
「あ、そうだ」
「うん?」
「今日、会長にからかわれちゃって」
「会長?」
「遼雅さんとの結婚生活のことです」
「ああ、今日面談だったもんね。何だって?」
ぎゅっと抱きしめてくれていたところから、そのまま簡単に身体を持ち上げられてしまった。
「きゃ、」
「ゆずは、ちゃんとご飯食べてる?」
「おかえりなさい」
「ただいま、柚葉」
すこし前にも会っていたはずなのに、おかしい。
やっぱり遼雅さんはきちんと公私を分けていて、お昼休み以外は完璧な上司にしか見えないから不思議だと思う。
ぎゅうぎゅうと抱き合って笑えば、身体なんてすぐに熱くなってしまった。
「……あたたかいです」
「それはよかった。今日もかわいいね」
「かわいくは、ないですけど」
「あはは、そう? 俺にはかわいく見えます。すきだよ、ゆずは」
以前までは好きなんて全然言ってもくれなかったのに、あの日以来、遼雅さんの口癖に「すきだよ」が加わってしまったような気がする。
いまだに新鮮に照れてしまうから、遼雅さんのちょっとしたからかいなのかもしれない。
「あ、そうだ」
「うん?」
「今日、会長にからかわれちゃって」
「会長?」
「遼雅さんとの結婚生活のことです」
「ああ、今日面談だったもんね。何だって?」
ぎゅっと抱きしめてくれていたところから、そのまま簡単に身体を持ち上げられてしまった。
「きゃ、」
「ゆずは、ちゃんとご飯食べてる?」


