「きみはかわいいから、もっと自覚してほしいな」
「そ、なこと、ない」
「すこし連絡が取れないくらいで取り乱す俺は気持ち悪い?」
「ええ?」
思っても見ないことを言われて、気の抜けたような声が出てしまった。ゆるくお腹を撫でられる。ぴったりと背中に身体を寄せられて、耳の一番近くで遼雅さんが囁いてくれる。
「今まで受けてきた仕打ちが、すこし、理解できる気がした自分が怖いよ」
「どう、」
「たった数分しか経ってないのに、柚葉から連絡がないだけで気分が落ち着かなくて、連絡を入れてから、はっとしたよ。……自分がされたことを、柚葉にしてるんじゃないかって」
「ええ? おおげさ、です」
「柚葉は天然だからなあ……」
天然ではないと思うし、遼雅さんが心配してしまうのは当然だ。しっかりと意見を言おうと思って振り返ったら、遼雅さんが首をかしげて私のことを見つめてくれていた。
「……私だって、同じこと、きっとしちゃいます」
「うん?」
「毎日遼雅さんがしっかり連絡してくれるから、ずっと安心していられるんです」
「そう?」
「はい! 突然なくなったら……」
「うん」
「びっくりして、たぶん……、会長に相談します」
「え、会長。それはこまったな。逆らえないや」
「ふふふ、そうでしょう。私のほうが、悪い人間です」


