【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】



「んっ……りょ、……っあつ、い」

「ん」

「りょう……っ」

「もうすこし」


もうすこし、あとちょっと、もっと、と繰り返し囁かれて、とうとうくたりと力が抜けてしまった。

遼雅さんの胸に身体を預けて瞼を下ろしたら、耳元で低い笑い声が響いた。


「ごめんね。つい、我慢できなくなってしまいました」

「……ぜんぜん、てかげん、してくれない」

「うん、柚葉がかわいいのも、全然手加減してくれないから、おあいこにしてほしいな」

「何、言って」

「よいしょっと」


反論も聞かずに力の抜けた体をくるりと回して、遼雅さんの背中に背を向ける形で抱えなおされた。

遼雅さんのあぐらの上に座っているからか、すぐ横でたのしそうに笑う声が聴こえてくる。


「指、見せて」

「う、ん?」

「指輪」


熱を帯びた節くれた指先が、腕から手首をなぞって、私のものを掬うように手をつなぎ合わせた。

お風呂の中で見た通り、傷のない指輪が綺麗に輝いている。

私の左手と遼雅さんの左手をつなぎ合わせているから、二人の薬指に嵌っているものが、同じデザインになっていることは一目瞭然だ。


「次出社するときは、嵌めて行ってくれないかな」


誑かすように囁いて、有無を言わせず口元に私の手を持って行ってしまう。