【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】


“自宅にはちゃんとつきましたか”

“柚葉さん?”

“何かあったなら、連絡ください”

“柚葉?”


私は自宅にたどり着いたことすら連絡し忘れていたようだ。おどろいて、遼雅さんが動揺していた意味がよく分かった。

いらぬ心配をさせてしまったらしい。

特に部長のことがあってから、遼雅さんの心配性は加速している気がする。気づいていたのに本当にうっかりしていた。

好きな人に連絡を無視されてしまったら、どんな気分だろう。

遼雅さんは基本的に連絡が丁寧な人だから、もしも突然途絶えてしまったら、私は心配しすぎて携帯から手が離せなくなってしまいそうだ。

すこし考えただけでもぞっとしてしまった。

大変なことをしたのだと思う。あんなに温厚な遼雅さんが動揺しているところを見る機会なんて、そうそうないと思う。


「……柚葉?」

「わあっ」


一生懸命想像している間に、フローリングに座っている私の隣に、遼雅さんがしゃがみこんでいる姿が目に入っていた。

考え込みすぎてしまったらしい。

遼雅さんはまた髪を濡らしたまま私の顔を覗き込んで、手元に携帯があるのを目視したら、すこし眉を下げてしまった。