【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】



「……お前が橘に騙されずに来れんなら、まあ……、続けてやらないこともない」

「え? 本当!? やった! じゃあじゃあ、遼雅さんも来て三人でご飯は?」

「却下」

「う~ん……」

「柚の説得次第だ」


一緒に赤信号で足を止めて、壮亮が笑う音を聞いている。


たしかに説得は難しそうだ。

最近は土日にお買い物に出る時でさえ、一人で行くと言うと、すこし心配そうな顔をされてしまうようになった。

結局遼雅さんの目に弱い私は、一日中一緒に映画を観たり、二人でお散歩に行ったりするくらいにとどめてしまう。

遼雅さんはずっと抱きしめていてくれるから、離れがたいのも大きな要因だ。


「遼雅さん、心配性なんだよね。あんなことがあったから、わかるんだけど」

「お前の近く居たら、誰でも心配性こじらせるっつうの」

「そうかなあ」

「そうかなあ、じゃねえわ。相変わらず本当かわいいな。心配にもなるわ」


ぐちゃぐちゃに髪を乱された。

壮亮が珍しくブスと言ってくれないから、すこしおどろいてしまった。ぼうぜんと見つめていたら、壮亮にまた笑われてしまう。


「なんだよ」

「ええ、だって」

「うるせえブス、早く帰んぞ」

「あ、うん、待って」


聞き間違いみたいな、やさしい声だった。