遼雅さんの作る手料理は私も好きだけれど、それ以上にいつも働き詰めの遼雅さんには、もっとしっかりと休んでほしいと思う。
この際だと思って口に出したら、遼雅さんの瞳があまく揺れてしまった。
「俺があまやかしたいって言ってるのに」
「もうじゅうぶんですから」
「俺のほうが、きみにあまやかされてるよ」
複雑そうな瞳だ。
肩に置かれていた手が、笑っている私の頬に触れてまるく撫でる。その熱が好きだと思う。
何も気に病まずに、安らかでいてほしい。そう思うから、私は遼雅さんのことを好きなのだともう一度自覚してしまった。
「じゃあ、やさしい旦那さんには、毎朝起きたら一番にキッチンまで迎えに来て、ハグしてほしいです」
それだけでじゅうぶんすぎるくらい、私は遼雅さんが大好きだ。
すこし茶化してみたつもりで、遼雅さんの目がぱちぱちと瞬いているのを見ては笑ってしまった。遼雅さんのおどろく顔は、何度見ても可愛らしいと思う。
「約束してくれませんか」と囁いたら、どこまでもあまい瞳が笑ってくれる。
「もちろん。柚葉さんのお願いは、いつもかわいすぎる」
「かわいくはないです」
「褒められたら、すこし拗ねた目で見てくれるところも可愛らしい」
「あ、う……」
「あはは、全部かわいい。本当に、弱ったな」


