遼雅さんとあまい匂いだけがそばにあって、あとはもう、何もなくなってしまったみたいだ。

錯覚して、眩暈が止まらない。


「りょう、」

「全部あまい」

「っあ、きたな、いです」

「汚くない」

「だめ、」

「……じゃあ、一緒にお風呂入りますか?」


指先がトップスの裾から侵入して、ゆるりとへそのあたりを撫でる。


「や、だ」

「だめ? さっきのお願い、一緒にお風呂入ることだったんだけど」

「あっ、まっ、て」

「それが無理なら、このまま抱くよ」


背中に触れていた手が、ついさっき会社でされたのと同じように下着のホックで遊んでいる。

違うのは、その手がトップスの中に潜り込んでいて、今すぐにでも簡単に外してしまえそうなことだ。


「お風呂、入りたい?」

「ん、は、はいりたい」

「じゃあ一緒に入ろう」

「それ、は」

「柚葉さんの全部、きれいに洗ってあげるから、ずっと座っているだけでいいよ」

「は、ずかしい」

「恥ずかしがってても、かわいい」


指先がするりと服の中から離れて、当然のように抱き起された。

抱えられて、ようやく体に力が入らなくなってしまっていることに気づく。

もう、逃げることもできない。


「力入らなくなった?」

「う、あ……」