彼氏、友達、生徒会……私は平穏な学校生活を送っているつもりでいた。

この日は朝から雨が降っていた。

私はいつも通り家を出て、学校に行って……いつもと同じで楽しく1日を過ごせると思っていた。

でも……違った。

昼休みになり、一緒にご飯を食べるため私は安住ちゃんと一緒に柳の教室に迎えに行く。

「あ、ゴメン。今日は一緒に食べれないんだ」

柳は私と一切目を合わせることなく言う。なんだか様子が変だ。

「……そうなんだ」

そしてまるで私を避けるかのように、柳は暗い表情のまま教室を出て行った。

「柳、変だったね。私何かしたかな?」

私は柳が目を合わせなかったのを気にして安住ちゃんに聞いてみた。

「さぁ……どうしたんだろうね。まぁ、明日にはいつも通りに戻るでしょ」

安住ちゃんも思い当たる節がないのか不思議そうな顔をする。

「そうだといいけど……」

そして放課後……

テスト前という事で、今日は生徒会の集まりも部活もない。私は山下君と一緒に帰ろうと彼のクラスに行った。

「あれ?居ないなぁ」

教室を覗いてみたけど、山下君の姿は見当たらない。

「おっす、紗倉。山下探してんの?」

「あっ、柴っち。一緒に帰ろうと思ったんだけど、山下君帰っちゃった?」

「いや、さっき教室に柳が来て山下と2人で出て行ったけど」

柴っちは、中学が同じで山下君の親友だ。そして私と柳と安住ちゃん、山下君と柴っちの5人は中学の頃から仲の良いグループだった。

だから柳と山下君が一緒にいても全然おかしくないんだけど……でも、昼休みに柳の様子が変だったのが私は引っかかっていた。