部活が終わり、私はサッカー部が練習しているグラウンドを眺めながら、彼氏を待っていた。

「お待たせ」

急いで着替えてきたのか山下君は少し息を切らしている。

電車通学の私と山下君は駅に向かって歩き始めた。

「高校でもその髪型なんだな」

山下君は私のお団子ヘアーを見て話す。

実は中学の時からずっとこのお団子ヘアーだった。高校に入ってから何度か髪型を変えようかと思ったけど、急に髪型を変えるのが恥ずかしくて結局お団子ヘアーを貫いている。

「……子供っぽいかな」

「いや、いいんじゃない」

山下君はどちらかというと積極的に話をするタイプではないので、私の話を聞いてもらいながら帰った。

次の日、私は同じ中学だった仲良しの(やなぎ)  愛佳(あいか)安住(あずみ)  陽菜(はるな)の3人で昼休みを過ごしていた。

「紗倉、遠慮しないで山下とお昼過ごしていいんだよ?」

安住ちゃんは紙パックに入ったヨーグルト味のジュースをストローで飲みながら話をする。ボブヘアーで背の高い彼女は3人の中ではお姉さん的存在だ。

「山下君はサッカー部の人達とお昼食べてるし、私も柳と安住ちゃんと一緒に居たいから」

「可愛いヤツめ」

今度は柳が笑顔で私の頭をなでなでしてきた。柳はショートヘアーがよく似合うスポーツ少女でいつも元気だ。

私の大好きな2人の友人……

この時はずっと仲良しでいられると思っていた。