「ねぇ、人を好きになるってどんな感じ?」

「えっ?」

香月先輩の予想外の質問に私はどう答えていいか分からない。でもニコッとして私の回答を待っている先輩がいる。

でも突然こんな質問してきてどうしたんだろう。

「えっと……一緒にいてドキドキしたり、少しでも長く一緒にいたいと思ったりとか?香月先輩はどうですか?」

「俺は……人を好きになった事ないから分からないかな。実は初恋もまだなんだ。おかしいでしょ?」

え?初恋がまだって言った?

めっちゃ恋愛経験豊富そうなんですけど。

「今、めっちゃ恋愛経験豊富そうって思ってるでしょ?人並みに彼女もいたし好きになる努力もしたけど、結局恋愛って努力して出来るものじゃないよね」

「確かにそうですね」

「最初はモテるの嬉しかったけど、俺のせいで女子が争ったり嫌がらせにあったりするのを見てると、なんか俺は恋愛してはいけないんじゃないかって気になるんだ」

確かに女子の香月先輩の争奪戦って凄そう。想像しただけで苦笑してしまう。そんな女子を見続けてきたせいで恋愛に恐怖を感じているとか?

もしかして香月先輩、恋愛が出来なくて悩んでいるのかな。

「恋愛……したいんですか?」

「……そうだね。いつか好きな人と恋愛してみたいと思うよ」

その時の先輩の笑顔に、私は思わずドキッとした。

「変な話してゴメンね。さて、部活に行きますか。あっ、今の話は2人だけの秘密という事で」

香月先輩は人差し指を自分の口に当ててニッコリする。

そしてスッと立ち上がって、何故かトップでまとめた私のお団子ヘアーを握り生徒会室から出て行った。