いつか咲う恋になれ

昼休みが終わり、バスケ部のNO.1決定戦が行われる体育館に向かう。予想通り凄いギャラリーだ。

私と優莉は二階からバスケットコートを見下ろす。コートでは宮原先輩のチームと小谷先輩のチームに別れて準備運動をしていた。

「宮原先輩、左手大丈夫かな?」

「直前まで冷やすって言ってたけど、どうかしらね。午前中にやった試合で痛めたらしいわ」

よく見ると、宮原先輩の左手首にはリストバンドが装着されている。多分、腫れを隠しているのだろう。

各チーム準備運動が終わりいよいよ試合かと思った瞬間、何故か朝比奈先輩は壇上に上がりマイクを手にした。

「試合の前にちょっといいっすか?」

何だ何だと体育館内がざわつく。みんなの注目が朝比奈先輩に集まると、ニヤッとしながら宮原先輩を指差した。

「敦士先輩、せっかくだし何か賭けません?その方が盛り上がると思うんですけど」

朝比奈先輩に挑発されてか宮原先輩も壇上に上がり、朝比奈先輩からマイクを奪い取る。

「へぇ俺らに勝つ気満々ってわけか。いいぜ、何賭けるよ?」

「そうですね……例えば試合に負けたチームの一人がこの場で好きな子に生告白ってのはどうです?」

朝比奈先輩が提案を発表した瞬間、体育館内の盛り上がりが最高潮になった。この空気がとても拒否できる雰囲気ではないけど、どうするんだろう。