「……消しゴム?」

何で上から?と不思議に思い校舎を見上げる。見上げた先に香月先輩が窓から顔を出していた。

「こ、香月先輩!?」

先輩は窓からニッコリして手を振っている。そうか、先輩のいる場所……生徒会室だ。

いつからそこに居たんだろう。まさか山下君と話している時から見てたのかな。

すると香月先輩が私に向かって手招きをしてきた。生徒会室に来いって事?

もしかして別の人を呼んでいるかもと、一応周りに誰か居ないかキョロキョロ確認してみたけど私以外誰もいない。

私は急いで生徒会室へ向かった。生徒会室の前で一旦深呼吸をしてドアを開ける。

「早かったね」

入ると、窓側に立っている香月先輩がクルッと振り向いてまたニッコリとした。

「い、いつからそこに居たんですか?」

「さぁいつからかな?取り敢えずこっちにおいで」

私は香月先輩の隣に移動する。先輩のこの表情、絶対全部見てたんだろうな。

「さっき話してたのって元彼君だよね?」

「そう……ですけど」

「何話してたの?」

香月先輩は私の顔を覗き込むように話す。

「えっと……き、気になりますか?」

何から話して良いか分からず、逆に先輩の顔を覗き返した。

「うん、気になる。彼女の浮気現場目撃しちゃったからね」

全然気にならないよっていう返事が返ってくると思ったのに、先輩の方が一枚上手だった。