「柳とは……普通に話とかしてる?」

「全然してない。たまに会っても避けられる」

「そっかぁ」

私は空を見上げる。またいつかみんなで笑える日が来るといいなと流れる雲を見ながらそっと思った。

「なぁ紗倉」

「何?」

次の瞬間、私は硬直してしまう。山下君が私をふわっと抱きしめてきたのだ。

「や、山下君?」

「俺、やっぱりまだ紗倉が好きなんだ」

私の耳元で山下君は囁いた。

ど、どうしよう……私は少し焦ったけど、何故か香月先輩が頭の中にポワンと出てきて不思議と冷静さを取り戻す。

「……気持ちは嬉しいけど、山下君と付き合えない。ごめんね」

私が答えると山下君は私から離れた。

「そうか……分かった。虫の良い話かもしれないけど、友達としてまた話しかけてもいいか?」

「もちろん」

私は笑顔を見せる。山下君も微笑みを返してくれた。

そして山下君はサッカー部へ戻り、私はまた中庭に一人になる。それにしてもまさか山下君に再度告白されるとは思わなかったからビックリしたな。

抱きしめられた事を思い出し、少し顔が赤くなる。

ちょうどその時、私の横に何かがヒュッと落ちてきた。驚いてキャっと声が出てしまったけど、恐る恐る上から落ちてきた物を確認して拾い上げる。