「優莉ごめん。先に行ってて」

私はピタッと立ち止まって振り向き、廊下を走り出した。

どうしたらいいか分からないけど、今は真尋先輩に会って自分の気持ちを伝えたい。その一心で真尋先輩を探した。

恐らく弓道場に向かっているはず…そう思って追いかけたけど追い付かず、コソッと弓道場を覗いたけど、真尋先輩の姿はない。

「もう帰ったのかな」

もう少し探してみようと思い、教室や屋上……居そうな場所に行ってみるけどどこにもいなかった。

校内を走り回って切らした息を整えながら、やっぱり帰ったかなと思い諦めようとしたその時、ふと頭に『ある場所』が浮かびあがり最後に行ってみる。

「あれ……穂花ちゃんだ」

最後に向かった生徒会室……中に入ると窓から外を眺めている真尋先輩がいた。

「ど、どうしてここに……」

私は校内を走り回って上がっていた息を整えつつ話しかける。

「弓道場に行こうとしたんだけど、その途中に女子達に見つかって追いかけられちゃってさ、ここに逃げてきた」

最後の最後まで女子に追いかけられるなんて真尋先輩らしい……思わず私は笑ってしまった。

「穂花ちゃんこそどうして生徒会室に戻ってきたの?忘れ物?」

「えっと、私は……」

真尋先輩を探してました……と言えず言葉を詰まらせる。でももう逃げないから。

頑張れ私……震える手をギュッと握りしめてしっかりと真尋先輩を見る。