「ちょ、ちょっと!?」

優莉(おまえ)まだ高一だろ?まだ卒業までに時間があるじゃねぇか。先の事まで考えすぎなんだよ。俺の事、好きなんだろ?」

「……うん」

「じゃあ何も問題ねぇ。時間はあるんだから先の事は付き合いながらゆっくり考えていこうや」

優莉は宮原先輩の胸の中で嬉しそうに微笑んでいた。優莉の恋が上手くいきそうで良かった。

私が二人に感動していると、後ろから真尋先輩が頭にポンと手を乗せてきた。振り向くと、真尋先輩は親指でドアを指して生徒会室から出ようと合図を送っている。

そうか、気を利かせないと。私と真尋先輩はそっと生徒会室から廊下へ出た。

「二人、上手くいきそうで良かったですね。それにしても先輩達が生徒会室に居るなんて全然気がつかなかったです」

「生徒会室で敦士と話してたらさ、廊下から二人の声が聞こえてきて、そしたら敦士が隠れろって言ってきたから条件反射で隠れてしまって、その後君達二人が生徒会室へ入ってきたってわけ」

「そうだったんですね。でも結果的に話を聞かれて良かったです。優莉の本音を聞いて宮原先輩に何て言っていいか悩んじゃいましたから」

「はは、スパイ活動終了だね」

私と真尋先輩は笑いながら廊下を歩く。でもふと人目が気になり、真尋先輩のファンに見つかる前に私は自分の教室に戻る事にした。