「バッカじゃねぇの?」

私と優莉しかいないはずの生徒会室から男子の声が聞こえてきた。二人してキョロキョロするけど、やっぱり私達以外誰もいない。

すると、生徒会室の隅にある掃除用具の入ったロッカーがバンっと勢いよく開き、中から宮原先輩が飛び出てきた。

「み、宮原先輩!?」

私と優莉は椅子から立ち上がり、驚いた表情をしながら宮原先輩の方を見る。

「いやぁ、ごめんね。話を聞くつもりはなかったんだけど……」

宮原先輩と逆の方からも男子の声が聞こえてきたので振り返ると、教卓机から真尋先輩がひょこっと出てきた。

「ずっと生徒会室に居たんですか!?」

私が質問すると、真尋先輩はニコっと笑顔を見せてくる。やっぱり全部話を聞かれたんだ。恐る恐る優莉の顔を見ると、優莉は宮原先輩の方を無言で見ていた。

「本当にバカだよな」

宮原先輩は少し怒ったような表情で優莉に近づいてくる。

「バカバカうるさいですよ」

優莉は宮原先輩から視線を逸らし、小さめの声を出す。そんな優莉の声を聞き流し、宮原先輩は優莉の前まで来ると、右腕を優莉の肩に回しグィっと自分の胸に引き寄せた。