その日の夜、バレンタインの事を忘れようと家で勉強……というか現実逃避をしていると真尋先輩から電話がかかってきた。

「何してた?」

真尋先輩からの質問に私が『勉強です』と答えると『真面目だね』と笑われた。

「それでさ、受験終わったしリベンジデート誘ってもいいかな?」

クリスマスの日にした約束、覚えてたんだ。私の胸はキュンとなる。

「もちろんです」

本当はもっと誘われた嬉しさを伝えたかったけど、返事するのでいっぱいいっぱいになった。

電話を切った後、私は携帯を握りしめる。真尋先輩の受験も終わったし、このデートで私……告白しようかな。

デート当日、私はいつもより早起きをして身支度を整える。大人っぽくしようと髪も下ろしていつもと雰囲気を変えた。

「……気合い入れ過ぎかな」

ドン引きされないか心配しながら、待ち合わせ場所に向かう。待ち合わせは私の家から一番近い最寄りの駅だ。

早めに家を出たはずなのに、すでに真尋先輩は待ち合わせ場所に着いている。

「おはようございます。すみません、遅くなりました」

駆け足で真尋先輩の元へ行く。先輩も私に気づきニッコリ笑顔を向けた。

「おはよう。俺も今来たばかりだよ」

受験から解放されたからか、何だか真尋先輩の笑顔が爽やかさ三割増に見える。