年も明けいよいよ三学期、先輩達の受験が目前まで迫っている。

クリスマスデート以来、真尋先輩と電話したり会ったりとかはなかったけど、一回だけ正月の初詣(はつもうで)で引いた大吉のおみくじの写メを送った。

『私の運をおすそ分けします』

真尋先輩からありがとうと返事がきた。でもよく考えたらプレッシャーになってないかなと少し後悔する。

二月に入り、受験が始まった。真尋先輩なら大丈夫だと思うけど……授業中に窓の外を見て空を眺めながら、無事に受験を終えますようにと祈った。

「ねぇ、これ美味しそうじゃない?」

休み時間になり、私は今クラスの女子と雑誌を広げて盛り上がっている。『バレンタイン特集』、女子の好きなイベントだ。

もうそんな時期か、私はチョコどうしようかな。真尋先輩にあげたいけど、恐らく食べきれないほどのチョコを貰うだろうし……。

放課後、優莉と一緒に話をしながら生徒会室に向かう。

「優莉はバレンタイン誰かにチョコあげるの?」

廊下を歩きながら尋ねる。

「そうね……香月先輩以外の生徒会のメンバーにはあげようかな」

「どうして香月先輩にはあげないの?」

私は不思議に思い優莉をじっと見る。真尋先輩チョコ苦手だったっけ?

「今は分からないけど、中学の頃は本命チョコも義理チョコも一切受け取ってなかったから、迷惑になるだけかと思って」

そうだったんだ。確かに全部受け取ってたら大変な事になりそうだけど……どうしようかな。私はますます悩んだ。