プリクラ機の中から二人が居なくなったのを確認して外に出る。

「モテるね、穂花ちゃん」

「……真尋先輩には負けますけどね」

結局知り合いに会わないうちに私達はアミューズメント施設から出た。本当はまだまだ遊びたかったけど仕方ない。

外に出ると、すっかり薄暗いオレンジ色の空になっていた。まだ夕方なのに日の沈みの早さに冬を感じる。

私はマフラーを巻き真尋先輩と歩き始めた。

制服を着たまま遅くまで遊べないね、という事でこのままデートは終わり、家に帰る事にした。

真尋先輩に『大丈夫ですよ』と言ったけど、もう暗いし危ないからと家まで送ってくれた。

「送ってくれてありがとうございました」

楽しい時間は終わり、あっという間に家に着く。

「ゆっくりデート出来なかったね、ごめん」

「いえ、凄く楽しかったです」

真尋先輩は申し訳なさそうな顔をしている。先輩が悪いわけじゃないのに……

「受験が終わったら……デートのリベンジさせてくれない?」

真尋先輩の真っ直ぐな視線が私をドキドキさせる。もちろん私は『はい』と返事した。

「ありがとう……メリークリスマス」

そう言ってふわっと私を抱きしめてきた。真尋先輩の温もりが私に伝わる。

……好きです。

まだ言葉に出して言えないけど、日に日に育つ私のこの想いを伝えるかのように、私も真尋先輩をギュッとしながら別の言葉『メリークリスマス』と囁いた。