「自分で食べれる」


「ダメだよ、まだ熱もあるんでしょ」


「......」


「はい、あーん」



ふー、ふー、とある程度冷ましてから、私の口元に持っていく。


空腹には耐えきれず、ぱくっと、蓮華の中にある麺を食べた。


もちもちしてて、美味しい。



「うんうん、食べれてるみたいでよかった。
うどん好き?」


「...うん」



重度のうどん、豆腐愛好者。


別に、ふたつ好きだからといって、二股とか、そういう話ではない。



「だと思った。
...あの日も、うどんを食べてたよね」



あの日。いつを指すのか分からない。

昨日をあの日と指すにはちょっとおかしいが、内容的にもおかしい。


私は昨日、うどんを食べようとはしていなかった。


...湯豆腐たべたい、とは思ってたけど。


そもそも昨日は何も食べていない。



「あの日だよ。
...ほら、君が風邪を引き始める二日前」



やはりこの男は頭がおかしいらしい。


風邪をひいたのは、三日前。
つまり、五日前の話を彼はしていることになる。


なぜお前が私の食事を知っているのだ、と私は言ってやりたい。


でも何度も運ばれてくるうどんが美味しくて、話すどころではない。