気を付けてって自分の小さな心に言い聞かせる。


あんまりいっぺんに彼を見てはいけないの。


そのあまりのカッコよさと素敵さに、失神しかけたことがあるんだから。


そうそう、少しづつ見よう。


両目をつぶってから、まずは片方の目からあけてみよう。


拳を握り、ゴクッと喉を鳴らす。


そーっと、そーっと目を開けたら。


う、うそ。


ちょうど私の目の前を通り過ぎていく彼の凛とした横顔に心を奪われた。


けれど、彼は私の存在なんかに気が付きもせず正門へと歩を進めていく。


雨城 千景(うじょうちかげ)くん、私の大好きな人。


身長180センチを超える彼は中学時代バスケで鍛えていたらしく、すらりとしてて筋肉質。


きちんと整えられたサラサラの黒髪、シュッとした眉毛、三白眼の涼しい目元、高い鼻梁、薄くて形のいい唇。