だけど、先生は私がこうして朝正門前で立っていると必ず近寄ってきて心配そうに様子を見守ってくれているんだ。


「あの、先生。父には内緒にしてくださいね」


「ええ、でも私が言わなくとももうお父様はご存じのようですよ。花お嬢様が彼を追いかけていると学園中の誰もが知っていますから」


「ええっ、そんなあ」


有名な話ですよと追い打ちをかけるように言われたから、恥ずかしくて穴を掘って今すぐにでも隠れたいくらいだった。


有名なんだ、どうしよ。


こっそりとひっそりと、彼に片思いしているつもりだったのにな。


だって、遠くからでも見ているだけでも十分幸せで。


私が赤い顔を隠すように両手で頬っぺたをおおっていたら、そんな様子を登校してきた生徒達はジロジロ眺めているのが分かる。