(side千景)


「千景くーん」


ニコニコ笑う花の笑顔を見たら不思議と疲れなんて吹っ飛んでいく。


いつものように放課後の時間をつぶして俺を待っていてくれた彼女と正門前で待ち合わせていた。


「花、遅くなってごめん」


「いいよ。待ってる間、図書室で勉強してたから」


「そうなのか?1人で大丈夫だった?」


誰か知らない男に声をかけられやしなかったか、なんて心配になる。


「ううん、大丈夫じゃなかった。数学で分からないところがいっぱいあって」


だけど、彼女には俺の言ってる意味が伝わらなかったみたいだ。


「いや、そうじゃなくてさ……。花が1人でいたら変な奴がよってこないか心配で」


照れくさいけど、これは俺の本音。


彼女のことが世界一可愛いと思ってる。


「そんなこと絶対ないから大丈夫だよ。千景くんたら」