冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。

「キャッ……」


「俺につかまって」


「は、はい」


あっというまに軽々と抱き抱えられたかと思ったら、凄い勢いで彼が走り出した。


振り落とされないようにギュッとしがみついた。


「ンキャー」


その瞬間、悲鳴にも似たけたたましい歓声が鳴り響く。


パシャパシャ。



たくさんのスマホの撮影音。


ギャラリーが大興奮しているのを身をもって感じる。


「千景くん、ごめん。重いよね?」


「いや、全然へーき。軽い軽い」


「千景くん」


真剣な顔で走る彼の額にうっすら滲む汗。


たくましい胸板に力強い腕の筋肉にもドキドキしてしまう。


時々私と目を合わせては、優しく微笑んでくれて。


もうもうこんなのウットリしないわけがないよ。


風のように2位のカップルを抜き去って、1位のカップルにも並んだ。


1位のカップルの男子はなかなかのマッチョ体型でしかも3年生のようだ。


おそらく普通学科の体育推薦の人っぽい。 


運動神経抜群って感じで、かなり手強い相手だとすぐにわかった。


「千景くん、がんばれ」


ハアハア。