冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。

「次の障害物までお姫様だっこで走ってください」


係の体育委員に指示されたのでギョッとした。


お姫様抱っこをしてしかも走るって、どれだけ大変なの?


前を見たら2位のカップルが姫抱っこに耐え切れずへたばっている。


無理もない。抱えているのがセレブコースの男子みたいなんだけど、お坊ちゃんのせいか力も体力も無さそうなんだよね。


うわっー、これはかなりきつそう。


かなりの距離を抱えて走らなきゃいけないから余計大変なんだ。


ふと千景くんを見たら腰に手をあてて、準備運動しているみたい。


「いてっ」


だけど後ろに上体をそらした時に、しかめ面をするので心配になった。


「千景くん、どうしたの?もしかして背中が痛い?」


「いや、なんでもない」


彼は少し笑ってかぶりを振る。


「でも」


「大丈夫だ、行こう」


そう言った彼は私の後ろから肩に手を回す。