冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。

千景くんはうっすらと赤くなりながらも、力強く励ましてくれた。


彼だってかなり恥ずかしいはずなのに。


だけど、私のために精一杯頑張ろうとしてくれてるんだ。


「う、うん」


こうなったらやるしかない。


そうだ、さっきのちえりちゃん達みたいにほっぺにだったら私にも出来るかも。


「千景くん、もう少し屈んで」


彼のジャージの袖を引っ張って、えいやっとばかりに頬に唇を押しあてる。


「わっ」


触れるというより勢いあまってぶつけたって言った方が正しいかも。


ムードも何もないよね。


「ごめん、痛かった?」


「いや大丈夫」


彼は目を大きく開いてそれからパチパチ瞬きをしてる。


ちょっと驚いてるような照れてるようなその顔に、きゅうんと胸が鳴る。


そして、その瞬間ギャラリー達のキャーキャー言う大歓声がおこった。


「いやー、千景くーん」


中には悲鳴のような声も入り混じる。