冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。

ただキスするだけでも難易度がたかいのに。


こんなみんなが見てる前で、私のほうからするなんてありえない。


その時、観客席から黄色い歓声があがる。


隣のカップルが躊躇することなくガッツリ抱擁してキスしている。


うわーっ。うわーっ。
かなり濃厚なやつだ。


そして彼らはすぐに次の障害物に向かって走りだしていく。


見れば、ちえりちゃんの引いたメモも私と同じ指示だったのか、背伸びして彼氏の大原くんにキスしようとしているところだった。


ほっぺにチュッて。


ひゃっ。
見ちゃった。
親友のこういうとこを見るのは初めてだからこっちが恥ずかしくなっちゃう。


だけど、ちえりちゃんの顔が赤くなってて超可愛いんですけどっ。


周りに圧倒されていたら、その場にはとうとう私たちだけが残されてしまった。


このままだとビリ確定だよ。


「花、頑張れ。一緒にゴールしよう」