冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。

彼はちょっと考えるようなしぐさをするので、慌ててしまう。


「千景くん、ジンクスなんてもういいから、1位なんて」


こうして一緒に出てもらえるだけでもう充分だよ。


「いや、どうせなら1位を狙っていこう。花、頑張ろうな」


彼はどうしたことか柔らかく笑う。


「え、え」


千景くんたらもしかして、ヤケクソになってる?


それともただ単に負けず嫌いだったりするのかな。


どっちにしろ、さっきよりもずっとやる気になったみたい。


「花、絶対1位とろうな」


優しくそう言ったかと思ったら、そっと手を握られた。


「あ、えっと。その。だって私たちは」


彼に手を繋がれただけでドキドキして身体中がほわっと熱くなる。


「障害物競走か、俺こういうの初めてだな」


「私も」


グラウンドのトラックを一周する途中で数々の障害物があるみたい。


これをひとつひとつ乗り越えてゴールを目指す。