冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。

「スタートラインに移動してください」


私たちは1番めに走るグループみたいだ。


ちえりちゃん達カップルも一緒みたいだからちょっとホッとした。


「花頑張ろうね、ほら1位をとってジンクスをかなえるんでしょ?」


「えっ、えと」


ジンクスって今はそれどころじゃないんだけど。


それにいまさらこのタイミングでその話をされるのが恥ずかしい。


1位はおろか無事にゴールまで辿りつけるだろうか。


今の私たちには、こんなにも心の距離があるっていうのに。


「1位のジンクスってなんのこと?」


なぜか千景くんがこの話題にくいついてきた。


私の代わりにちえりちゃんが答える。


「この競技に1位になると将来ずっとラブラブで一緒にいられるんだって。
花の両親が昔1位を獲ったらしいよ」


ちえりちゃんったら、そんなこと千景くんに説明しなくてもいいのに。


「そっか……」