(side千景)


「いいから、しのごの言わずに歩けって」


「無理だって、俺たちもうカップルじゃないんだし。それに花だって俺のことなんて待ってない」


伊達にひきずられるようにしてグラウンドの端にある競技入場門あたりまで連れてこられた。


「それに俺さっき棒倒しで背中から落ちて痛いんだよ。もう体力も残ってないし……」


花にフラれてからも俺は様々な競技に参加はしたけど、うまく身体が動かなくてさんざんだった。


ついさっき棒倒しをしていた時にも、不注意で高いところから落ちてしまって背中から腰を地面に打ち付けてしまった。


まさに身も心もボロボロ。


「まだ煮え切らないこと言ってんのかよ。
だからフラれるんだぞ」


「……」


悔しいけど何も言い返せない。


俺は花にあんなに、あっさり別れを告げられたんだから。


「……」


普段なら伊達に蹴りでもいれてやるとこだけど、今の俺にそんな気力はない。


それに伊達は花にフラれたことを話したら、いつもみたいにからかう風じゃなくてなんだか怒っているみたいだった。


珍しく真剣な表情だし、親身になってくれているような気がする。


「ほら行ってこいよ。これに出なかったら完全に終わっちまうぞ」