「こんな奴のどこがいいんだよ。顔がいいだけだろ?」


失礼な奴だな、俺は顔だけかよ。


「拓海くんなんかにわからないよ。私には千景くんしかいないの」


いつもながら彼女は赤面するくらい俺への好きを溢れさせている。


なんというか、うん、まあ、嫌な気はしない。


「私たちの大事な時間を奪わないで」


キッパリとそう言った彼女は俺の腕にギュッとしがみついてきた。


「花、そんな……」


拓海はショックをうけたように青ざめてしまう。


なんだか気の毒だけど、仕方ないよな。


彼女は俺が好きなんだから、潔く諦めろよ。


拓海が今にも泣きそうな表情なので、さすがに口を挟むのは躊躇して黙っていた。


俺がなにか言わなくても、すでにかなりダメージをくらっているみたいだから


「俺にも昔はクッキー焼いてくれたのに」


悔しそうに言う拓海。