(side千景)


「はい、あーん」


羞恥心を必死で振り払いながら、おとなしく口を開けた。


すると花が手作りのクッキーを俺の口の中へ入れてくる。


その時に彼女の指が俺の唇にあたったらしくて、キャッーなんて言ってはしゃいでいる。


さっきからこれの繰り返し。


花が楽しそうでなによりだ。


「千景くん、次はーい」


モグモグ。


甘すぎないしクッキー自体はうまい。


しかし、この行為は死ぬほど恥ずかしい。


「美味しい?」


「ああ」


ある日の昼休み、今日の彼女のお願いは中庭にいる他のカップルがしているようなイチャイチャをしたいんだそうで。


俺は、照れながらも彼女の言いなりになっていた。