彼はクスッと笑ってから私をじっと見つめる。


その美しすぎる笑顔についつい引き寄せられてしまいそう。


それって10分以上いてもいいってことなのかな。


一瞬ぼんやりしてしまったら、彼の手が急に私の頭の上へ伸びてきた。


「制服じゃないからかな、今日は別人みたいに見えるな」


頭を優しく撫でられたから、ドクンって心臓がはねた。


だって、千景くんの私を見つめる表情がいつもと少し違う気がしたから。


「やっぱ花はお嬢様なんだな。いっつもそんな格好してるの?」


「え?」


始め彼が何を言っているのかわからなかったんだけど、そういえば私パーティー用の恰好だったんだ。


「ち、ちがうよ。今日はこの後にうちの邸で創立記念日のパーティーがあって、だからいつもよりも着飾ってるだけなの」


「そうか、それでか」