冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。

モノトーンを基調とした落ち着いた雰囲気の室内は、きちんと整理整頓されていた。


本棚には難しそうなぶ厚い本がギッシリ。


中でもひときわ目を引いた本があった。


大学の医学部受験用の参考書が並んでいてびっくりした。


「千景くんもしかしてお医者さんを目指してるの?」


「うん、まあな」


興奮気味に尋ねる私に対して彼はサラリと答えた。


「すっごーい、そっかだから勉強頑張ってるんだね」


「なれるかどうかまだわからないけどな」


「ううん、千景くんなら絶対なれるよ。
それに白衣とか似合うんだろうな。
絶対カッコいいよ」


彼の凛とした白衣姿を想像したらヨダレが出そうになるけど我慢、我慢。


「白衣?そんなのまだ考えたことなかったよ。花は面白いな」


彼はフッて笑うから、胸の奥がきゅうんと音をたてる。