冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。

千景くんの弟さんならさぞかしカッコいんだろうな。


会ってご挨拶したい気もするけど、時間がないもんね。


私はこっそりとスマホの時計を見た。


うんあと残り7分弱ってところかな。


こうして2日ぶりに会えてうれしくて胸がいっぱい。


だけど、私達には10分ルールという鉄のおきてがある。


最近の彼は、凄く譲歩してくれてるみたいで初めのころに比べたら随分優しい気がする。


だけど、そういう彼の優しさに甘えて調子に乗っちゃいそうで怖いなって思うんだ。


今日だって、突然わがまま言って会いに来ちゃったし。


本当は迷惑だって思われていたらどうしよう。


そういう小さないら立ちが積もっていくと嫌われちゃったりしないかな。


別れようなんて突然言われないように気をつけないと。


うー、千景くんのお部屋に入れてもらえる日がくるなんて夢のよう。


「どうぞ」


「お、お邪魔します」