「うん、そうだよ。お姉さんは?」


「お姉さんも千景くんのことが、だーい好きだよ」


手を大きく開いて、明るくそう言ったら千景くんが慌てて咳払いをした。


「花、人んちの玄関先でなにおお声で言ってんだよ。早く中に入れよ」


そんな彼はなんだかばつが悪そうな顔で、自分の耳を触るような仕草をする。


あ、これって最近になって気が付いたんだけど。


耳を触るときって照れてる時みたいなんだよね。


「あ、ごめん」


でもさすがに調子に乗りすぎたかもって思って、恥ずかしい。


大好きだなんて、彼以外の人の前で宣言するのはさすがに初めて。


「あ、あのこれ少しだけど私が作ったお菓子。みなさんでどうぞ」


忘れないうちに渡しておこうと思って、紙袋を差し出した。


手作りのクッキーをたくさん焼いてきたんだ。