「今はまだ未熟でもいいんだろ?
この3年間で成長したいって、ここにも書いてる。
これそういう意味だろ?
今のおまえのまんまでいいから行って来いよ」


「ほんとにこのままでいいのかな?」


彼は頷くと、私にその用紙を返してくれた。


「がんばれ」


そう言って、後ろから肩をポンって優しく叩かれた。


その後の私は機械仕立ての人形のようにガチガチだったけどなんとか舞台中央まで移動した。


舞台の端っこのカーテンの横には彼がいてこっちを見守ってくれている。


ザワザワとする生徒たち。
たくさんの視線をあびて足がすくみ、緊張で震えた。


だけど用紙を見ながらゆっくりと挨拶文を読み上げた。


なるべく大きな声で、私の伝えたい言葉が届くように。


決して上手に読めたわけじゃなかった。