普通学科の校舎に入ってしまったら、同じ学校とはいえなかなか彼に会えない。


だから、登下校の時は彼に会う最大のチャンスなの。


今日こそはこの手紙を受け取ってもらうんだ。


手紙の中身は私の連絡先が書いてある。


そして、これを手渡すときに、勇気を出してこう言うつもり。


(私とお友達になってください)って。


彼氏になってほしいだなんて贅沢は言わないから、友達になってまずはおしゃべりがしてみたい。


そして彼のことをもっともっと知りたいなって……。


そんなささやかな願いが叶えば、この恋心も報われるような気がするから。


「よ、よしっ」


意を決して、彼を追いかけた。


だけど、周りの女の子たちが壁になっているからなかなか近づけない。


「あ、あのっ」


私の小さい声なんて彼女たちの声にかき消されてしまう。


「雨城くん、待ってください」