「はい!また明日、図書室来てね?」
由希ちゃんが私に本を渡してくれる。
「うん!絶対来るね!」
友達と約束するってなんてワクワクするんだろう。
久しぶりだな〜。
「分かった!じゃあまた明日ね〜。」
「うん!由希ちゃんばいばーい。」
由希ちゃんは、図書委員がある日だけ、ペアの人と、図書室を掃除するんだって。
ペアの人は、優しそうな先輩。
いかにも、本好きって感じがする。
そういえば、私は委員会入っていないんだよね。
部活は絶対に入らなきゃ!
どうしよう?
何があるんだっけ?
私、しっかりしなきゃー。

よし!これで今日の掃除は終わり。
早く掲示板見に行こっと。
えーーっと…
「部活、部活っと…」
あ、あった!
私が気になっていた部活!
…美術部
これぐらいしかやりたい部活ないんだよね。
運動部は絶対無理!
文化部だったら美術部だな〜。

「おはよう!」
「おはよう〜!」
いつもと変わりない朝。
「あ!先生、おはようございます!」
「皆さんおはようございます。」
あれ?先生だ。
いつもより早く教室に来たけど…
なんか連絡事項とかあるのかな?
「ごめんなさいね!皆さん、一旦自分の席に戻ってください。」
みんなガラガラと椅子を引く。
「なんだなんだ?」
「なんだろう〜?」
「急ですが、今から部活アンケートをとりたいと思います。」
え!?
今日に変更したんだ!
「わぁー!」
「先生、待ってました!」
みんなが口々に喋りだす。
「じゃあ、アンケートの紙を回します。」
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1年B組 野原穂乃香

部活アンケート

第一希望.美術部
第二希望.
第三希望.

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う〜ん。
美術部以外、何も思い浮かばないよ…
みんなは何にしたのかな?
知ったって意味無い。
だって、私にはどうせ友達なんかできないんだから。
美礼ちゃんは、最近歌歩ちゃんとずっと一緒にいるし…
歌歩ちゃんにも嫌われてるっぽい。
私、もうダメなのかも…
部活をやって、そういう色々なこと、忘れてしまいたい。
「ねぇねぇ、彩知歩ちゃん。一緒に美術部入らない?」
────え?────
「いいね!一緒に美術部にしようよ!」
待って待って?
美術部!?
同じじゃん…
「第二希望、第三希望書かなくていいよね?」
「私も書いてないよー。」
「あっ、ほんとに?じゃあ、真梨花ちゃん一緒に入ろうね〜。」
「うん!仮入部、楽しみだね!」
…名前何だっけ?
真梨花ちゃん、彩知歩ちゃんだっけ?
同じ部活だから一人じゃないね!
どうせ、同じクラスの子だからといって、話すわけじゃないけど…
でも、二人とも第二希望と第三希望、書かないって言ってたからこれで提出しようかな。
「はーい。後ろの人集めてきて下さい。」
「…」
「…」
────ん?────
みんな何でわたしを見るの?
私の列の子が、後ろを向いて私に注目した。
はい?
..............
え?
..............
「ねぇねぇ、野原さん?」
「アンケートの紙集めてくれる?」
「…あ。ごめんなさい。」
「あれ?野原さんの列だけまだなんだけど?どうしたの?」
先生まで…
まずいっ!
ガタッと席を立った。
と、その時、私が座っていた椅子が後ろに倒れた。
ガッターン、っという音が教室に響く。
「え?なになに?」
「大丈夫かな?」
かぁーっと顔が熱くなった。
椅子をあげようと思った時、
「大丈夫。野原さんは先に行ってて?」
「あっ……。」
…男子、だ……!
「ごめんなさい!」
一礼して、先生のところにアンケート用紙を渡す。
「野原さん大丈夫?後ろの席の人にプリントお願いしたから…」
「あっ、はい。慌ててすみません。」
「大丈夫ですよ。」
先生はすぐに笑顔になったけど、私の列の女子は、なんだか怒ってる感じ…
心の中で、何度も何度も謝る。
こうやって私は嫌われ者になっていくんだね…