「はーい席に着いてー」


担任の山本先生が教室に入ってきた。



「せんせー転校生はー?!」



いち早く情報を得た男子が席を立つ。



「はいはい、今から紹介するから座って」



山本先生は1度深呼吸をした。



「じゃあ如月くん、入って」



「はい」




───ガラッ



教室に入ってきた男の子は、キャメル色のウルフヘアで、鼻筋がスラッとしていて、制服のネクタイを程よく崩した笑顔の似合う人だった。



「初めまして!如月千歳(きさらぎちとせ)と言います!
千歳とかいて"ちとせ"と読みます。長生きする事が目標です。よろしく!」


ニコッと笑った口元に八重歯が見える。


クラスの半分くらいの女子は如月くんの虜になったに違いない。