階段をおりて下駄箱に向かってる間も笹川くんは手を離すことはなかった。
靴を履き替える時にやっと離して貰えた。
「……もしまたこういう事があったらさ、遠慮なく僕を頼って…いや、僕を使って欲しい。」
笹川くんから自分のバッグを受け取り肩にかけた。
「恥ずかしいな、僕焦ってるみたい。
でも、どんな形でもいい。僕を利用して?」
"利用する"って言い方はあまり好きじゃないけど、笹川くんが私の事を心配して言ってくれてる。
私は頷いた。
「じゃあ、また明日ね」
正門のところで笹川くんと別れた。
如月くんじゃなくて、笹川くんを好きになれたら良かったのに。
心配して、助けてくれて…。
どうして笹川くんじゃダメなんだろう。



